「キーボードは一生モノ」は大げさではない。HHKB Professional HYBRID Type-S レビュー

パソコンは消耗品、キーボードは一生モノ」と語ったのは、HHKB開発のきっかけとなった東京大学名誉教授 和田英一氏だ。在宅ワークが増えてきた昨今、Macの周辺環境を見直すチャンスと考え「HHKB Professional HYBRID Type-S」(以下、HHKB)を導入しました。

HHKBをゲットしたのは2020年6月。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、リモートワークが広まっていったタイミングです。僕と同じようなことを考える人が多かったのか、HHKBは何か月も品切れ状態。(後にHHKBを販売するPFUの担当者に聞いたところ、やはりコロナ禍ですごく売れたのだそう)

いつまで経っても品切れが解消されないので、メーカーに問い合わせたところ、無料で1台提供してくれました。(レビューしてくれとは言われてないです)

HHKBは「静電容量無接点方式」のキーボードです

HHKBは、ブログラマーが理想とする合理的なキー配列をしたプロフェッショナル向けのキーボードです。

冒頭で紹介した東京大学名誉教授 和田英一氏初の発案によるもで、ファーストモデルは1996年に発売。ファーストモデルを手にした和田氏は、以下の言葉を技術者に贈ったそう。

「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない」

Happy Hacking Keyboard | 20th Anniversary | PFU より

今回レビューするのは「HHKB Professional HYBRID Type-S」というモデル。Type-Sとは、高速タイピング性(Speedy)と静粛性(Silent)を向上させたモデルを意味し、タイピングの心地よさに軽快さが加わった、速さと快適さを追求したプロモデルだ。

現行のフラッグシップモデルであり、機能もフル搭載されている。Bluetooth接続、USB接続(Type-C)をサポートし、キーマップ変更機能を搭載。Bluetooth接続では、4台まで接続が可能で簡単なキー操作でデバイスを切り替えることができる。

HHKBが「静電容量無接点方式」という入力方式を採用している点は、最重要ポイントの1つだ。一般的なキーボードが、電極端子を押し付けて接触させることでスイッチングするのに対し、円錐スプリングを押し下げ、電荷容量値の変化でスイッチングする方式になっている。

メンブレン方式と静電容量無接点方式(より)

軽快な打鍵感をもたらすだけではなく、キー入力で同じ文字が何度も入力されるような「チャタリング」が発生せず、耐久性にも優れている。身近なところではセブン銀行ATMのテンキーにも採用されている。

打鍵音は入力している自分自身は気にならないレベルだが、周囲にいる人は気になる人もいるだろう。そこで打鍵音の軽減になるという、吸振パッドを底面に貼ることにした。

HHKBの打鍵音が気になる人は、以下の動画が参考になる。

キーストロークは3.8mmと、AppleのMagic Keyboardと比べるとかなり深い。しかし、キーの跳ね返りが強いため、長時間使い続けるのであれば、HHKBのほうが肩こりや疲労の軽減が期待できる。

これまで、夕方になると手の疲れが気になっていたが、HHKBを使い始めてからは疲れを感じることがなくなった。

キー配列はJIS配列を利用している。(HHKBを導入する前、US配列のキーボードを数か月試してみたものの、JIS配列に慣れてしまった体を矯正することはできなかった。)Macモードに変更できるDIPスイッチや、公式の「キーマップ変更ツール」が提供されているので、自分の好みのキー配列に変更することが可能だ。

バッテリーは充電式ではなく「単3乾電池」なのが重要

HHKBのバッテリーは充電式ではない、というのは重要なポイントなので述べておきたい。

和田氏が技術者たちに贈った言葉に「いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない」とあったとおり、HHKBは一生モノのキーボードだ。この思想が反映されると、おのずとバッテリーは充電式ではなくなる。

内蔵した充電式バッテリーを採用した場合、キーボードの寿命がバッテリーに左右されることになる。HHKBは、バッテリーとキーボードを別にすることで、バッテリー寿命に左右されずに使い続けることができるというわけだ。

ちなみに、一般的なアルカリ乾電池で約3か月動作する。AppleのMagic Keyboardは満充電で約1か月の動作時間なので、バッテリー充電(乾電池交換)の手間もHHKBのほうが少ない。

毎日多くの時間をともにするキーボードだからこだわるべき

仕事環境の良くしたいと考えると、デスクや椅子などを良いものにしたり、ペンやノート、手帳などの道具で解決しようと考えるだろう。

キーボードも同じように、自分のパフォーマンスを最大化できる製品を模索していく必要がある。仕事内容や用途によっても最適なキーボードは変わりますが、良いキーボードは仕事の気分を上げてくれるし、シンプルに「疲れが減った」ことが大きな収穫だった。

一生モノになり得るハイエンドキーボード、興味があればお試しください。

余談

HHKB導入から2年経った現在、HHKBは2台体制になり、2台同時に使うことでセパレートキーボードのように使える環境になった。肩が丸まらずに、開いた状態で仕事ができるので姿勢が良くなります。

めちゃくちゃ場所を取るので、オススメはしません。


Writer's message

HHKBは多くのファンを抱えるキーボードですが、万人にオススメできるキーボードではありません。最近はプログラマーだけでなく、ライター/編集者や小説家など、文を書く仕事をしている人にも人気があるようです。

Written by

野村純平