夏休みが恋しいあなたに。ワクワクいっぱいの団地冒険アニメ映画『雨を告げる漂流団地』

誰もが童心に帰って楽しめる作品

9月に入っても厳しい残暑が続き、夏の余韻が感じられる昨今ですが、新学期が始まり早くも夏休みが恋しくなっている人や、長期休みが終わった時の切なさを思い出している人も多いのではないでしょうか。

9月16日から全国の映画館で公開&Netflixで配信されるアニメーション映画『雨を告げる漂流団地』は、そんなあなたにピッタリの作品です。

本作は、夏休みのある日、とある団地に忍び込んだ小学校6年生の少年少女が不思議な現象に巻き込まれ、団地ごと辺り一面の大海原へと漂流してしまうファンタジー作品です。現代日本の郊外から突然の大航海の旅へと観客を巻き込み、誰もが童心に帰って、ワクワクいっぱいの冒険アドベンチャーを堪能させてくれる作品なのです。

子どもたちだけのワクワク漂流生活

夏休みのある日、小学校6年生の男の子、航祐は、同級生で幼馴染の女の子、夏芽が「おばけ団地」と呼ばれる取り壊し寸前の団地に忍び込むところを目撃します。夏芽は、かつて航祐とその祖父と過ごした団地が取り壊されることが悲しくてしょうがありません。

団地に忍び込む夏芽を、航祐は仲間たちと一緒に追いかけます。すると、突然不思議な現象に巻き込まれ、気が付くとおばけ団地ごと辺り一面の青い海に流されてしまっていたのです。

そこで謎の少年「のっぽ」と出会い、航祐たちは自分たちだけの力でこの漂流生活を生き延びるために力を合わせて頑張るのです。

©コロリド・ツインエンジンパートナーズ

本作は、『十五少年漂流記』のような漂流ものの冒険譚です。夏休みに子どもたちだけで探検した思い出を持つ人は多いでしょうし、取り壊し目前の団地のような廃墟に忍び込みたくなる気持ちに共感できる人もいることでしょう。

本作はそんな子どもの頃の思い出を刺激してくれる作品です。大人はいない、子どもだけの漂流生活は大変なこともいっぱいですが、口うるさく云う人もおらず、まるでキャンプのようなワクワク感が満載です。

しかし、海という大自然が時に牙をむき、嵐に見舞われることも。危険と隣り合わせの漂流生活はワクワクだけじゃなく、スリルと不安もいっぱい。そもそも、どこに流されているのかもわからないので、観ているこちらも一緒に漂流してしまったかのようなドキドキ感もたっぷり味わえる作品になっています。

戦後日本を象徴する団地のノスタルジー

本作の特徴は舞台が団地であること。この映画を観ると「団地って面白いな」と感じることでしょう。

どうして団地を舞台に選んだのか、本作の石田祐康監督は団地が大好きな人で、ご自身も数年前に団地に引っ越しています。「簡潔で無駄がそぎ落とされた“無印良品“みたいな建物」が「海を航海していたら面白いな」というイメージからこの映画は始まったそうです(「teteblog」より)。

団地はかつての高度経済成長期を象徴する建物と言えます。昭和の頃、中流家庭に憧れる多くの人が地方から都市に流入し、団地に移り住んだのです。

経済成長が停滞し平成の不況期に入ると、団地は衰退しゴーストタウン化する団地も増え、取り壊されるケースも増えてきましたが、近年はリノベーションが進んで若い人のライフスタイルに合った形に変化してきている団地もあるそうです。

石田監督は、「この国が焼け野原から立ち上がる象徴としてあった姿と、裏腹に疎まれ壊されてきた生い立ち。それでも、装いを更新し生き続ける姿」に惹かれたと語っています(映画「雨を告げる漂流団地」公式サイト スタッフコメントより)。

団地には、こういった現代日本の歴史が詰まっているのです。そういう場所を舞台にしているからか、本作はとても強いノスタルジーを感じさせます。団地に暮らしてきた人々の生活の積み重ねが、美術・背景から感じられ、物語のカギを握る祖父との思い出が明らかになるにつれて、涙腺を刺激されてしまうのです。

日本アニメ界期待の俊英、石田祐康

本作で監督を務めた石田祐康は、これが長編映画2作目。前作『ペンギン・ハイウェイ』(2018)で、弱冠29歳という異例の若さで長編映画デビューした逸材です。

『ペンギン・ハイウェイ』は、森見登美彦の小説を原作とした作品でしたが、今回は石田監督のオリジナル企画。石田監督は、常に「子ども心」を大切にした作品作りを心がけており、前作では科学が大好きな少年が世界の不思議に触れる様と、年上のお姉さんに憧れる純な気持ちを生き生きと描いていましたが、今回も少年少女たちの冒険心と絆を躍動感たっぷりに見せてくれます。

とはいえ、本作は子どもだけに向けられた作品では決してありません。宮崎駿監督作品や『ドラえもん』の名作映画など、優れた子ども向けアニメは、大人の心も鷲掴みにするもの。石田監督の映画は、「大人も子どもも魅了する」という言葉が大変によく似合います。

本作を観ると、大人たちなら童心に帰ったつもりでハラハラドキドキできるでしょう。夏休みが終わってしまって憂鬱な子どもたちも、この映画を観れば、もう一回夏休み気分を味わえること間違いなし。この秋必見の映画です。

長編アニメーション映画『雨を告げる漂流団地』

9.16(金) Netflix全世界独占配信&日本全国ロードショー

©コロリド・ツインエンジンパートナーズ

本予告 https://youtu.be/ITKclnpz0nc

出演:田村睦心 瀬戸麻沙美

村瀬歩 山下大輝 小林由美子 水瀬いのり 花澤香菜 島田敏 水樹奈々

監督:石田祐康 脚本:森ハヤシ/石田祐康

音楽:阿部海太郎

主題歌・挿入歌:ずっと真夜中でいいのに。

企画:ツインエンジン

制作:スタジオコロリド

配給:ツインエンジン/ギグリーボックス

製作:コロリド・ツインエンジンパートナーズ

©コロリド・ツインエンジンパートナーズ

9.16(金) Netflix全世界独占配信&日本全国ロードショー

●公式サイト: https://www.hyoryu-danchi.com/

●Twitter:@Hyoryu_Danchi (https://twitter.com/Hyoryu_Danchi

#漂流団地 #スタジオコロリド


Written by

杉本穂高