映画『セッション』のストイックすぎる主人公に、思わず「負けるなっ!」

狂気的な指導シーンは観る人も体力必須

はじめまして! 佐分利眞由奈です。

普段は女優やモデルとして活動しております。

これから、Articleで好きな映画やエンタメ作品を発信できることが嬉しいです。

私の視点での楽しみ方を、みなさんにシェアしていけたらいいなと思っております。

アカデミー賞3部門を受賞した異質のジャズ映画

今回紹介したいのは、映画『セッション』です。

これまで私が観てきたミュージカルなどの音楽映画はハッピーで、コメディタッチの作品が多かったのですが、『セッション』はまったく違います。サスペンスのような緊張感あふれるシーンもあり、観る方も体力が必要な映画でした。

日本では2015年に公開され、第87回アカデミー賞で、助演男優賞だけでなく、録音賞、編集賞を受賞している作品です。

『セッション』 ブルーレイ:¥3,080(税込) DVD:¥1,980(税込) 発売元:カルチュア・パブリッシャーズ 販売元:ギャガ

©️2013 WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督・脚本を務めたデイミアン・チャゼルは、当時28歳という若さで本作品を作り上げています。製作費はわずか3億円。同時期に公開された映画と比較すると、かなりの低予算で作られたようです。

この話を聞いて、お金やキャリアの長さが全てではないんだなと改めて感じました。どんな人にも成功の可能性はあるんだと勇気をもらえます。

0.1秒のズレも許されないジャズドラマーへの道

鑑賞のきっかけは公開当時、予告の「ラスト9分19秒 映画史が塗り替わる瞬間を目撃せよ」というキャッチフレーズに惹かれたからでした。

物語は、偉大なジャズドラマーを目指す学生、アンドリュー・ニーマンと鬼教師のテレンス・フレッチャーを中心に進んでいきます。

ニーマンを演じるのは『トップガン マーヴェリック』(2022)に出演しているマイルズ・テラー。フレッシャー役は『スパイダーマン』シリーズで知られているJ・K・シモンズです。

名門音楽大学に入学し、ドラムレッスンに励んでいたニーマンは、とあるきっかけから、伝説的教師のフレッチャーのバンドにスカウトされます。

いざバンド練習へ向かうニーマンですが、喜びも束の間、0.1秒足りともテンポのズレを見落とさない狂気的な指導が待っていたのです。

フレッチャーによる厳しい指導が続く 『セッション』©️2013 WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

文字通り"血のにじむ"努力に思わず……

演奏を間違えてしまうと、すぐさま人格を否定されたり、生徒たちの前で家族を侮蔑されたり、挙げ句の果てには椅子まで飛んできて……。

このシーンは、何度見ても心が痛みます。精神的、肉体的にも追い詰められたニーマンは、異常なまでに練習に時間を費やし、ついには、手から血を流してもドラムを叩き続けるのです。

血塗れになった手を氷水に浸すシーンを見て、そこまでやるの……? と心配になってしまいました。血が滲むような努力とはまさにこういうことなんですね。

けれど、ドラムを通してフレッチャーに向き合う姿を見て、いつの間にかニーマンを応援している自分がいました。

負けるな! って。

次第に追い詰められていくニーマン 『セッション』©️2013 WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

そして、この2人の関係はある出来事をきっかけに大きく変わることに……。

ここから先は、みなさんの目で彼らの結末を見届けてほしい!

緊張の中でも癒しをくれるジャズ音楽

最初から最後まで緊張感のあるシーンが続きますが、心地よいジャズを聴けることが本作品唯一の癒しです。

私自身、普段の生活でジャズを聴くことは少ないですが、この映画で演奏されている曲は、有名な曲が多く、ニーマンのドラムパートが際立っているので、ジャズをあまり聴かない方でも楽しめるジャズ音楽だと思います。ぜひ、音楽にも注目して観ていただきたいです。

『セッション』 ©️ 2013 WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

なお、監督・脚本を務めたデイミアン・チャゼル自身も、学生の頃ジャズドラマーを目指していたそうで、『セッション』は自分の経験が生きているとインタビューで答えています。監督自身の青春時代が反映された映画なんですね。

怒涛の107分間で思い出した私の"ストイックな青春"

私はニーマンや監督ほどストイックになれたことはないですが、この業界に入った当初、ファッションショーのコンテストを受けていた時期があります。

高校生ながら食べるものに気をつけたり、学校が終わったらすぐに帰って部屋の中や外で真っ直ぐひいたテープの上を歩くウォーキング練習をしたり、雑誌を切り抜いてポージングノートを作ったりとコンテストに向けて打ち込んでいました。

その時の気持ちを思い出しながら観ていたこの映画ですが、予告でも触れられている通り、衝撃的なラストシーンが待っています。

それははたして、ハッピーエンドかバッドエンドか。天才と狂人は紙一重なのか。

107分間という短さではありますが、終始ジェットコースターのように感情が忙しくなり、観終わったあとはスカッとすることでしょう。みなさんも鬼教師フレッチャーによる指導を体験してみては、いかがでしょうか?

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。