転生モノだけど、現実の交渉や部下の指導にも役立つ? 漫画『転生ゴブリンだけど質問ある?』

後輩や部下を持つみなさんは、きっと共感ポイントや発見があるはず。

「転生モノ」というジャンルがあるのをご存知ですか?

物語の最初に主人公が死んで、違う世界に生まれ変わるところから始まる漫画や小説のことです。転生した先の世界はだいたいRPGゲーム風で、魔法が使えたり、モンスターが出てきたり。主人公は何かしらの能力を与えられ、その能力を使って敵と戦っていきます。

転生は古くからある定番の設定ですが、特にここ何年か、このジャンルの作品がめちゃめちゃ増えていて、私はこのジャンルが特に好きで、月に一度か二度は漫画喫茶に長時間篭り、まとめて読み漁っています。

だいたいどれも似た話かと思いきや、それぞれの工夫や個性があって面白い!

今回紹介する漫画『転生ゴブリンだけど質問ある?』も、タイトルの通り、転生モノの作品ですが、他の作品とは一味違います。

『転生ゴブリンだけど質問ある?』1巻表紙 ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

設定が斬新!長寿になるスキルでザコキャラのゴブリンが無双

会社員のアキラは、ある日交通事故に遭って意識を失い、目を覚ますとゴブリンになっています。

「平凡な主人公が、転生すると勇者やヒーローになっている」というのがお約束のジャンルの中で、倒される側、しかもザコキャラのゴブリンに転生するという設定がすでに新鮮です。

とはいえ、アキラはただのゴブリンではありません。

人間80年というスキルを持ってゴブリンに転生したアキラ

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

この世界では、皆がひとつ特別な「スキル」を持ち合わせており、アキラが与えられたのは、「人間80年」というスキル。ゴブリンの寿命は通常7日間という世界で、彼だけは80年生きることができるのです。

この世界では誰かが死ぬと、その最期を看取った者にスキルが受け継がれるため、長生きのアキラは、たくさんのゴブリンから多種多様なスキルを受け継いでいくことになります。

さらに、たまたま魔王の死に際に居合わせることになり、魔王の強力なスキル「弱肉強食」も獲得します。

作品の冒頭で魔王のスキルを引き継ぎ、序盤から波乱の予感

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

そこに、ほかのゴブリン比べて、あまりにも有能なアキラを警戒した人間の国のリーダーたちが牽制を入れてきたり、魔王に関係する他種族が接触してきたりして、物語がめまぐるしく展開していきます。

ここまで読んで、よくありそうなストーリーだと思った方もいるかと思います。

でもこの作品、定番の「バトル・友情・エロ要素」だけではないんです。

まるで監督!部下や後輩のコーチ術に共感ポイントも

例えば、ゴブリンの村の村長となったアキラは、会社員時代の経験を活かして、村を発展させていきます。

彼は、戦闘系のスキルを持つゴブリン、商人が使うような頭脳系のスキルを持つゴブリン、職人系のスキルを持つゴブリンなどをグループ分けして、7日で死んでしまうゴブリンたちの技術や経験が同様のスキルを持つ次世代のゴブリンたちに引き継がれるような仕組みを作ります。

分かりやすいネーミングでスキルを襲名制に

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

ソフトボールで言うなら、試合のたびに皆が好きな守備位置を守っていた状態から、それぞれの得意・不得意を見極めてポジションを決め、ポジションごとの練習をさせる、という感じですね。

ゴブリンたちは、アキラのアイディアを試した結果、物事が上手くいったり、成長できたりしたことで、ますます彼を信頼するようになっていきます。

アキラは、まさにチームをまとめ上げる監督のような存在。

私自身、後輩や子どもたちの指導をすることがありますが、アキラのヒントの与え方や褒め方などに、自分が心がけていることと重なる部分があり、なるほどと思うことも多々ありました。

後輩や部下を持つみなさんは、きっと共感ポイントや発見があるはず。

アキラはほかにも、特産品を新しく作ったり、人間と取引をしたりと、次々とアイディアを発揮していきます。

この作品には、ファンタジー要素だけでなく、「主人公が元会社員」という設定ならではの、現実にも応用できる面白さが、たくさん詰まっているところも魅力ですね。

アキラは、ちょくちょく元会社員の片鱗を見せる

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

探り合いや駆け引きにドキドキ…頭脳戦が面白い!

なるべく平和的に解決する、というのも、この漫画の特徴です。

どうすれば相手の攻撃を止めさせられるか、起こりそうな衝突を回避できるか。

アキラは、取引先との交渉の経験や、日本史・世界史の知識などをヒントに、知恵とコミュニケーションで危機を解決していきます。

アキラの交渉術に人間側のお目付け役・カレンも思わず納得

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

印象的なのが、人間の伯爵・シモン老人とのやりとりです。

シモンは、アキラのゴブリンとは思えない賢さに興味を持ち、「心の友」と呼んで親しく接しながら、同時に彼の存在が人間にとって脅威になるかもしれないとも思っていて、いざとなったら殺すことすら考えています。

アキラの方もそのことには気づいていて、二人は一緒にゲームをしたり、にこやかにお酒を飲んだりしながら、バチバチの探り合いや駆け引きを繰り広げます。

二人のどこまで本心かわからない交流は、ドキドキしますし、力と力でぶつかり合う少年漫画とはまた別の熱さがあって、引き込まれること間違いなし、です。

会話に情報がギュウギュウに詰まっているので、読み飛ばせないですし、読むのにけっこう頭を使います。私は、ときどきページを戻って確認しながら読みました(笑)。

アキラとシモンのやり取りは見せ場のひとつ

『転生ゴブリンだけど質問ある?』より ©️三木なずな ・荒木宰/集英社

そして、巻が進むごとにどんどん話が複雑になり、目が離せなくなっていきます。

ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、最新刊では、アキラとシモンの関係が少し変化してきていることもあって、続きがますます気になります…!

現在、コミックスは6巻まで発売されていますが、漫画好きの私から見ても、6巻の時点でこんなに内容が濃い漫画はなかなかありません。

この作品、長期連載の大作になる予感がします。

まだ読んでいない方、今が追いつくのにちょうどいいタイミングかもしれませんよ!